■マークにつきにくい形

 そうなると、川崎がなぜ前進できなかった、が問題となる。この試合での大きな要素には強風の影響もある。川崎にとっては前半、ボールを前に蹴りたくても向かい風がそのコントロールを阻害。また、視界という面でも、前を向きにくい状況となった。
 ただし、風のせいだけにできない。もう一つの要因が、相手の2シャドウへの対処にあった。この試合でリカルド・ロドリゲス監督は、第1節・アビスパ福岡戦の小泉佳穂仲間隼斗のコンビから、小泉佳穂・渡井理己の教え子コンビを採用。なお、ウイングバックも変更している。
 小泉らがフリーになるように柏のウイングバックはポジショニングを調整。川崎のサイドバック、あるいはボランチがマークにつきにくい形を取っていた。加えて前線からプレスをかけることで川崎のビルドアップにけん制をかける。高井幸大と丸山祐市のCBが前に出て小泉・渡井対処するなど柔軟に守りつつ安定した形を模索してはいたが、風と合わせて前進しにくくなっていた。
 それでも先制したのは川崎。後半5分、三浦颯太のクロスに脇坂泰斗が合わせてゴールネットを揺らしたのだ。
 その3分後、リカルド監督は攻撃に変化をもたらすカードを切る。細谷真大を下げて垣田裕暉ジエゴを下げて久保藤次郎を投入したもので、その久保が投入から4分で結果を残す。小泉が丸山祐市、三浦、山本悠樹の間で受け、そこから、サイドでフリーになっていた久保に出す。久保はフリーでクロスを上げたことで、小泉の得点をアシストしてみせた。

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