【川崎はなぜ柏に苦戦したのか。戦術的駆け引きを探る(1)】小泉佳穂、渡井理己を中心に“つきにくい状況”を川崎に提示。その中で先制するも、交代策が“変化”をもたらし失点にの画像
柏レイソルの久保藤次郎と小泉佳穂の間をドリブルする川崎フロンターレの三浦颯太 撮影:中地拓也

 名古屋グランパスとの開幕戦を4-0で大勝。ACLE2試合も含めれば、公式戦3連勝としていた川崎フロンターレ長谷部茂利監督対戦のリーグ2戦目は、アウェイでの柏レイソル戦となった。

 試合を前にした2月19日の練習で、川崎の選手は「相手に持たれてもイヤな感情がないような戦い方をできている」との見方を示していたが、実際に試合が始まればその通りの展開に。柏がボールを持つ時間が長くなった。
 柏としては、ボールを握りたいと挑んだ試合ではあったが、予想外な部分もあったよう。同点弾をアシストした久保藤次郎は、試合後に「握り合いになるかと思った」という感想を口にしていた。
 実際、ボール保持にはかなりの偏りができたが、何がその要因となったのか。
 もちろん、今年の川崎はボール保持に重点を置いていないことも大きい。昨年まではパスを使ってボールを保持することで主導権を握ろうとしてきたが、現在は守備陣形を固めることで主導権を握ろうとしている。
 そういう前提はあるが、それでも、偏りをより大きく感じさせたのは、シュートの数とその決定的な質によるものではないか。リカルド・ロドリゲス監督は試合後、「残念ながら我々のミスから生まれた彼らのおそらくこの試合における唯一の大チャンスから失点してしまった」と言葉にしていたように、チャンスの数には大きな差があった。

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