
「ヤス! ヤス!」
アビスパ福岡の金明輝監督と挨拶を済ませた川崎フロンターレの長谷部茂利監督は、タッチラインを超えてまで脇坂泰斗を大声で呼び寄せた。コイントスに向かおうとするキャプテンだったが、進路を変えて指揮官の元へと進む。
「後半、あっちに攻められないように」
長谷部監督は脇坂にそう伝え、“コートチェンジ”を意味する動作を行う。そしていざ始まったコイントスで、脇坂はコートチェンジを要求する。川崎の選手はそのままのピッチで試合を始める素振りだったことからも事前に共有されていた事項ではなかったようで、長谷部監督の策は、発動自体は突然だったことが分かる。“選手にはこのタイミングで伝えよう”という想定を感じさせる、試合前の光景だった。
これまでの川崎にとって、コートチェンジはあまり採らなかった選択肢である。そのままのコートで始めれば、後半、青黒のサポーターに向かって攻めることで勢いが得られるからだ。一方で、風や太陽の影響でそれを変えるチームは多くある。予想外の寒さの中で19時にキックオフとなったこの試合でどのような意図があったのか、試合後に聞いてみた。