■試合後の監督の説明
長谷部監督は当初、「くじ運が良くてキャプテンが勝ったようですね。勝ちました」と話したが、筆者の目を笑顔で捉えながら次のように続けた。
「このスタジアムでは(福岡の)ゴール裏の応援がある90分前後(=試合終了間際)、あそこのゴール(福岡サポーター前のゴール)に入れることが多いんです。私は知っているんです。だから、それをさせないためにコートチェンジの話はしています。あとはキャプテンが選びました」
このクラブを4年間率いてきた長谷部監督は、福岡にとっては“劇場”と呼べるような、相手チームにとっては“魔物”と呼べるような、そうした「力」がある場面を何度も目撃してきた。その“魔力”を封印するために、コートチェンジを要求したようだ。
先手を打ったことで、福岡サポーターは目の前で見たくないものを見せつけられることになる。1-1という互いに譲らない試合展開のまま迎えた85分、エリソンが頭で決勝弾を叩き込む。闘牛とも怪物とも揶揄されるブラジル人FWは、この試合においては“魔物”になったのだ。