三笘、久保、南野の「ゴラッソ」と川崎、横浜FM、神戸の「上位独占」、甲府の「健闘」が示すJクラブの進化【ACLEリーグ・ステージが示す「日本サッカーの成長」と「大会方式の大問題」】(1)の画像
三笘薫など日本トップレベルの選手の多くが欧州リーグで活躍する現在。Jリーグの「空洞化」が心配されたが…。撮影/原悦生(Sony α‐1使用)

 今年に入り、AFCチャンピオンズリーグで日本勢が好調を維持している。日本のファンにとっては喜ばしいことだが、一方で大会の方式などには疑問点も残る。サッカージャーナリスト後藤健生が、ACLに鋭い目を向ける。

■日本勢が「三者三様」の勝利

 大詰めを迎えているAFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)のリーグ・ステージ。

 Jリーグ開幕を直前に控えた2月11、12の両日に行われた第7節の結果、日本から参加している横浜F・マリノスヴィッセル神戸川崎フロンターレの3チームがラウンド16進出を決めた。3チームは、第7節終了時点で1位から3位を占めており、他チームとの勝点差などを考えると最終節終了時点でもワン、ツー、スリーフィニッシュとなる可能性が高いようだ。

 第7節では上海海港をホームに迎えた神戸が快勝。11分の武藤嘉紀のゴールで先制すると、後半に3得点を加えて4対0の大勝を記録した。

 韓国の浦項に乗り込んだ川崎も、寒さの中の試合となったようだが、浦項の攻撃をしっかりと受け止め、川崎らしいパスやランを組み合わせて4ゴールを決めた。

 一方、スティーブ・ホランド新監督の下、3バックの新システムに挑戦している横浜FMは、ホームで上海申花相手に大苦戦。3バックは新加入のジェイソン・キニョーネスの能力の高さは見せつけたものの、守備陣の連係には問題があり、無失点で切り抜けられたのはGKの朴一圭(パク・イルギュ)の再三の好セーブによるもの(朴一圭がMVPに選ばれたのは当然だった)。

 また、アンデルソン・ロペスをトップに置き、ヤン・マテウス植中朝日をシャドーに配した攻撃陣も、ボランチやウィングバックの攻撃の絡みが遅いため、前線が孤立。ゴール前混戦でのA・ロペスの個人技とヤン・マテウスのシュート力で奪った1点をなんとか守り切った形だった。

 戦い方は三者三様だったが、それでも第7節の勝利によって日本勢の上位独占が実現した。

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