■他のアタッカーのSB抜擢も

 この顔ぶれを見ても分かる通り、今季浦和のSB陣はかなり攻撃的だ。長沼も関根ももともとは前目のプレーヤーで推進力と得点をお膳立てする力を兼ね備えており、自らフィニッシュにも持ち込める。そういう人材をサイドに配置して、マテウス・サヴィオ金子拓郎らとタテ関係を形成させれば、彼らのサイドアタックは相当な迫力になる。
 その反面、守備の方が疎かになるリスクが生まれる。昨季築いた堅守のベースが失われる恐れがあるのは不安要素だ。そのバランスをどう取っていくかがスコルジャ監督にとっての大きなテーマだろう。
 とはいえ、敵を凌駕する攻めというのは期待できそうだ。他のアタッカーのSB抜擢もないとは言えない状況だけに、それも含めて前向きな変化が楽しみだ。
 最後にGKだが、やはり38歳の西川周作が経験・実績・存在感ともに圧倒的だ。ただ、今季は牲川歩見吉田舜の追い上げもあって、西川との差が詰まってきている様子。特に牲川は出番が増える可能性もある。優れた守護神が複数いれば、チームにとっては心強い。3人が切磋琢磨して、総合力を引き上げるように努めてほしい。
 彼ら守備陣に求められるのは、失点を最小限に抑えること。そして攻撃の起点となる組み立てに関与することだ。堅守というスコルジャ監督のベースが崩れてしまったら、今季の躍進は叶わない。そこだけはしっかりと念頭に置いて、開幕までの2週間に完成度を高めていってほしいものである。
(取材・文/元川悦子)

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