■金子拓郎とサヴィオのポジションは

 金子が右、マテウス・サヴィオが左で、彼らに良い形で持たせるというのは1つの理想型と言えるが、現在はマテウス・サヴィオを2列目の中央に配置し、左に原口元気を起用するなど、いくつかの組み合わせを試している。マテウス・サヴィオも「昨年の柏では左サイドをやっていたけど、僕は10番の選手」と前向きだ。攻撃の中心になって行きそうなマテウス・サヴィオが中央も左サイドもこなせれば、最も充実した戦力の揃う二列目のタレントを存分に生かせることもメリットだろう。
 例えばマテウス・サヴィオが中央で、右は金子、左は原口という並びでスタートし、途中からマテウス・サヴィオが左に移り、中央に松本泰志中島翔哉を入れたり、チアゴ・サンタナとアルビレックス新潟から加入したFW長倉幹樹の2トップにシフトチェンジすることも可能になる。そうしたバリエーションも見越したチーム作りの段階ではあるが、マテウス・サヴィオにしても、金子にしても守備のタスクを当たり前のようにこなした上で、攻撃面の強みを出そうとしていることはスコルジャ監督が彼らを信頼して使える1つの支えになって行きそうだ。
 ただ、二人ともボールを持って仕掛けられる選手だけに、連動性を生かした崩しの意識が強くなりすぎると、そうした持ち味が発揮しにくくなり、逆に仕掛けばかりになっても、スコルジャ監督が打ち出すスタイルから逸脱していってしまう。そこの難しさはヴェルディ戦でも見られた。二人とも個人能力は高いが、非常に真面目なキャラクターでもあるだけに、そこのコントロールはスコルジャ監督の働きかけも大事になりそうだ。
 マテウス・サヴィオがと金子拓郎という二人の攻撃キーマンをどう生かすか。浦和の得点力不足を解消し、リーグ戦でのジャンプアップを目指す上で、最重要テーマの1つとなっていくことは間違いない。
(取材・文/河治良幸)

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