■政治が混乱する韓国の「これから」
2024年の尹錫悦大統領による非常戒厳事件。深夜であるにもかかわらず、国会議員と市民がすぐに国会に集まって戒厳解除に成功し、大統領弾劾も決議。こうした迅速な対応ができたのも、この国の長い民主化運動の経験によるものだったのでしょう。
それはそれで素晴らしいことなのですが、政治が混乱する韓国がこれからどうなっていくのか、日本人として心配せざるをえません。
僕は最近、ネット配信で韓国映画をしょっちゅう見ています。光州事件を扱った『タクシー運転手 約束は海を越えて』とか、李韓烈君の事件を扱った『1987、ある闘いの真実』とか、延坪海戦を扱った『ノーザン・リミット・ライン 南北海戦』といった、この時代を描いた映画も数多くあります。
第2次世界大戦前の抗日運動とか、戦後の南北分断や北朝鮮との対立、そして国内の弾圧と民主化運動の歴史……。韓国近代史は、映画のテーマに事欠きません。一方、日本の近代史では、明治維新と戦争を除いて映画のテーマになるような事件が少ないのですが、それは大変に幸運なことだったと言わざるをえません。