■原因は「連戦による疲れ」じゃない
こうして、なんとか延長戦に持ち込んだI神戸は、98分に土光真代からのロングボールを高瀬愛実が頭で折り返し、最後は成宮唯が決めて勝ち越す。日本代表経験者のプレーが生み出した決勝ゴールだった。
PK失敗などを乗り越えての勝利だったが、大苦戦だったことは事実。フェロン監督は「守備が強く、FWの吉田莉胡というターゲットがいるやりにくい相手」と語ったが、E埼玉はリーグ戦では9位に低迷しているチーム。リーグで2位に付けているI神戸として予想以上の苦戦だったことは間違いない。
試合後、フェロン監督は苦戦の原因をメンタル的なものと語った。
I神戸は12月に入ってから3試合目だった。12月1日にはWEリーグの第11節でセレッソ大阪ヤンマーレディースと対戦。1対2で敗れている。これが、今シーズン初黒星だった。
そして、8日には長崎のピーススタジアムでクラシエカップ準決勝を戦い、アルビレックス新潟レディースに1対0で勝利して決勝進出を決めている。
クラシエカップは、いわゆるリーグカップだ。
「決勝進出を決める試合だったから、選手たちは集中して取り組んで力を出し切った。そして、勝利したと思ったら1週間後に別の大会(皇后杯)を戦わなくてはならない。これは連戦による疲れというより、メンタル的な難しさだ。3つの大会が重なっているが、こんなカレンダーはスペインでは経験したことがない」(フェロン監督)