■3強の中で「最も苦しんだ」I神戸
さて、「3強」の中でも最も苦しんだのがI神戸だった。エルフェン埼玉のホーム、熊谷スポーツ文化公園陸上競技場での対戦だった。
I神戸はキックオフ直後から個人能力の差を生かして、ボールを握って攻撃を続けたが、フィニッシュ段階でパスの乱れがあり、また、得意のサイド攻撃でもクロスの精度に欠けて、なかなか得点できなかった。I神戸のジョルディ・フェロン監督は、パスの乱れを修正するため、前半のうちに左ウィングバックだった桑原藍をシャドーの位置に回し、桑原をWBに移すなどポジション変更を行った。
I神戸が攻めあぐね続けていると、19分にはE埼玉のDF岸みのりがCKからヘディングを決めて先制する。E埼玉にとっては、これがファーストチャンスだった。
後半に入ると、FKからのこぼれ球を交代して入ったばかりの水野蕗奈が決めてI神戸が同点とし、さらに攻撃を続けたI神戸は70分に相手のハンドでPKを獲得した。ところが、カルロタ・スアレスが蹴ったキックは、E埼玉のGK浅野菜摘に弾き返されてしまう。
そして、終了間際の87分には、今度はI神戸のハンドでE埼玉がPKを獲得。栃谷美羽が決めて(88分)、I神戸は土壇場に追い詰められた。
だが、90分に左サイドから守屋都弥が上げたクロスに水野が飛び込んで、相手のGK、DFと競り合いながらヘディングでコースを変えてゴールに押しこんで延長にもつれ込んだ。
この水野の同点ゴールは、フェロン監督が「練習はしている形」と語ったが、ゴール前に飛び込んでいった水野の勇気がもたらしたもの。水野はこのプレーで負傷して、交代を余儀なくされている。