■21世紀は「欧州」ひとり勝ち

 21世紀のサッカーは、完全に欧州が「ひとり勝ち」の状況にある。イングランド、スペイン、ドイツ、イタリア、フランスの「5大リーグ」を中心に、各国のリーグがテレビ放映権料から多額の収益を挙げ、その中から選りすぐりのビッグチームが覇を競う欧州チャンピオンズリーグは「ワールドカップを凌ぐレベル」とまで言われるとともに、他の欧州クラブ大会と合わせ、毎年5000億円以上の放映権収入を欧州サッカー連盟(UEFA)にもたらしている。

 こうした「シーズンごとのクラブ大会」に加え、4年に1度行われる代表チームの大会、欧州選手権も、世界的な関心を集め、世界に放映権を売ることで巨大な収益を挙げている。手元にデータがあるわけではないが、「サッカーという産業」が世界で生む収益の6割から7割が欧州に集中しているのではないかという印象がある。

 結果として、UEFAの力が強大になり、4年に1度のワールドカップに収益の大半を依存するFIFAは、後塵(こうじん)を拝する形となった。「クラブワールドカップ」のアイデアは、前会長のジョゼフ・ブラッターの時代からあったものだが、その意図は、最も集客力があり、関心を集める(=高額の放映権料を見込める)欧州の人気クラブをFIFAが主催する試合に出場させて収益を挙げることだった。インファンティーノも、まったく同じ目的でこの大会を推進してきたのだ。

(2)へ続く
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