■攻撃面でも大きく貢献した「MOM選手」
広島の攻撃を封じる、水際立ったG大阪の組織的な守備。
ディフェンスリーダーの役割を担ったのは、この日の試合前にJ1リーグ300試合出場の表彰を受けた中谷進之介だ。僕は、もしマン・オブ・ザ・マッチの投票があったとしたら、間違いなく中谷に1票を投じていたことだろう。
柏レイソルの育成組織出身で名古屋グランパスを経由して今シーズンからG大阪に加わった中谷。年代別代表に招集され続けて将来を嘱望されたDFも、もう28歳になった。日本代表にも招集経験はある。代表に定着することはできなかったが、その素晴らしい才能がG大阪で花を開いたようだ。
最終ラインを統率すると同時に、必要な場面では右のCBというオリジナルポジションを離れてタッチライン際まで出て対応したり、また、広島のシャドーの選手(加藤やトルガイ)が中盤に下りた場合にはしっかりついていったりと、非常にクレバーなプレーを見せて、広範囲をカバーした。
そして、1対1の局面でも強さと巧みさを見せた。
たとえば、26分にG大阪側から見て右サイドで、広島の川辺駿が仕掛けてきた場面。川辺がゴールラインのところで中谷を抜きにかかると、中谷は腕を使って川辺の動きを封じながら、巧みなターンで反転して確実にボールをクリアした。
中谷は81分には鈴木徳真のFKをダワンが折り返したボールに反応して、DFと競り合いながら押し込んで、勝利に大きく近づく2点目を決め、攻撃でもG大阪の快勝に大きく貢献した。