■佐々木がもたらす影響力

 試合出場数では大迫が最多の37。続いて塩谷が36、佐々木が35ということになるが、キャプテンの重責を担ってきた佐々木が最もビッグタイトルに近いのではないか。彼の統率力や安定感、チームにもたらす影響力を考えるとMVPという形で労うのは妥当な判断と見ていい。
 今年の成長度という点で言うと、中野就斗も候補者の1人かもしれない。今季は3バックのセンター、右、右ウイングバックと多彩な役割を高いレベルでこなし、5ゴールという数字もマークしている。ミヒャエル・スキッベ監督も万能型の彼の存在に大いに助けられたのは事実。ただ、まだ成長途上の若い彼にMVPという称号を与えるのは早すぎるという見方もないとは言えない。それは大迫にしても同様だろう。
 となると、やはり佐々木と塩谷のいずれかという判断になりそうだ。その前に広島は逆転優勝をもぎ取ることが先決だ。35歳のベテランの2人にはガンバとの最終決戦で力強く守備陣をけん引してほしいものである。
 一番優勝確率の低い町田の場合は、もっとMVP選考が難しくなる。今季の出場試合数と活躍を踏まえると、GK谷晃生、キャプテン・昌子源、チーム得点王の9ゴールをマークしている藤尾翔太、前半戦の町田旋風をリードした長身FWオ・セフンのいずれかという選択になりそうだ。

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