■「勝点1」を加えて圧倒的に有利だが…

 いずれにしても、J1リーグは12月8日に最終節を向かえる。

「VARでもらった」勝点1を加えた神戸が圧倒的に有利な状況であるのは間違いない。ホーム、ノエビアスタジアム神戸で湘南ベルマーレに勝利すれば、他会場の結果とは関係なく神戸のJ1リーグ連覇と2024年シーズンの2冠が決定する。

 だが、それほどすんなりと優勝が決まるとは思えないのがJリーグというリーグなのだ。

 首位に立ったチームがリズムを崩して星を落としてしまう。だが、翌週は代わって首位に立ったチームが不甲斐ない試合をして、再び順位が逆転してしまう。そして、たまたま最終節終了の時点で上にいたチームが優勝……。

 昔から、Jリーグではそんな優勝争いが何度も繰り返されてきた。

 神戸は昨年のチャンピオンであり、サンフレッチェ広島も一昨年、昨年と2年連続で3位に入った強豪だ。現在のJリーグでの最強の2チームであることに疑いはない。神戸には、海外リーグで活躍し、経験豊富な選手が何人もいる。

 そんなチームでも、シーズンが終盤に近付き、優勝争いの渦中に立つと冷静に戦えなくなってしまうのだ。

 今シーズンのJリーグで最強の攻撃力を誇る広島も、11月に入ると突然、得点力不足に陥り、リーグ戦では2試合連続で無得点負け……。と思っていたら、12月1日の札幌戦ではいきなり5得点の大爆発となった。

 一方、リーグ戦、天皇杯ACLを通じて堅守を武器に安定した戦いぶりを続けていた神戸も、柏レイソルとの試合では良いところが見えなくなってしまった。たしかに、柏が前線から素晴らしいプレスをかけてきたし、DFのパフォーマンスも高かったが、神戸の選手の動きにキレが欠けていたことも事実。

 そんな状況を見ていると、「ホームで湘南に勝って神戸がすっきりと連覇達成」といったシナリオは現実的ではないような気がしてくる。最終節でも、何らかのドラマやサプライズが起こるのではないか……。

 見ているほうは面白いのだが、本来なら強いチームは最後まで揺るぎない戦いを続けて勝ち切ってほしいような気もする。たとえば、ワールドカップ・アジア最終予選を戦う日本代表のように……。

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