■最後尾の選手たちが「アピール」も…

 この直前のプレーで南野がハッサン・カディシュとアリ・ラジャミに連続して強烈なタックルを食らわせ、2人は続けざまに倒れ、センターサークル内でそのまま横たわっていた。スタンドからは南野へのブーイングが起こり、サウジアラビアの最後尾に残っていた選手たちはファウルをアピールした。しかし、サウジアラビアがそのままボールを保持して攻撃しようとしているため、金鐘赫主審は平気な顔をしてプレーを続行させた。

 ムサブ・アルジュワイル⑦からサレム・アルドサリ⑲への鋭い縦パス。これにマーク相手のフェラス・アルブライカン⑨を捨てて、板倉④が飛び込む。だが、サレム・アルドサリ⑲は巧みなワンタッチで板倉④を背負ったままフェラス・アルブライカン⑨にパス。フェラス・アルブライカン⑨は縦に抜け出す。

 これは谷口③がよく寄せ、シュートを許さない。シュートができないと見たフェラス・アルブライカン⑨は、中央に走り込んできたサレム・アルドサリ⑲にパス。町田⑯を背負った状態だったが、サレム・アルドサリ⑲は強引に左ターンしながら右足を振った。だが、町田⑯は冷静にそのコースに左足を出し、シュートをブロックする。<シーン2>

 サレム・アルドサリ⑲はすぐにターンし、戻ってくる守田⑤をかわしながらペナルティーエリアに近づいてくるムサブ・アルジュワイル⑦にバックパス。ペナルティーエリアに入りながら一歩持ったムサブ・アルジュワイル⑦は右足を思い切り振り抜く。そこに入ってきたのが日本の選手たちだった。

 サレム・アルドサリ⑲のパスを阻止しようとした守田⑤は、そのまま間髪を入れずにターンしてムサブ・アルジュワイル⑦に寄せ、右足を上げてブロックに入る。その右後ろには遠藤⑥。真後ろには町田⑯が寄せ、左からは三笘⑦が戻って3人の「股下」を消すべく、体を倒しながら足を伸ばして低い位置をカバーした。ボールは守田⑤の臀部(でんぶ)に当たって、こぼれた。<シーン3>

PHOTO GALLERY ■日本代表「奇跡の10秒」を読み解く展開図
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