■2つのカップ戦敗退と同時に「ACL2」開幕
広島に関しては、試合過多という状況が常に指摘されていた。
リーグ戦を戦うのと並行してJリーグYBCルヴァンカップでも、天皇杯全日本選手権でも、ともに準々決勝まで戦った。ルヴァンカップが6試合、天皇杯が4試合である。
記録的な猛暑を記録した2024年の日本で、広島はこれだけの試合を戦ってきた。
そして、9月の2つのカップ戦で敗退すると同時に、ACL2が開幕。ACLエリートと違って、Jリーグ最強クラブの一つ、広島にとっては“格下”相手の試合になり、実際、開幕4連勝を飾っているが、香港とシドニーへの遠征を強いられた。
シドニー戦ではターンオーバーを実施し、主力を休ませたり、ベンチスタートとしていたが、それにしても疲労は蓄積される。
スキッベ監督は、比較的ターンオーバーをせずに、カップ戦でも主力を使い続けるタイプの監督だ。それでも、いくつもの大会で上位進出を果たしているのは、トレーニングの質や選手起用の微妙なさじ加減によるもの。その手腕は間違いない。
だが、そうやってなんとかチーム力を維持して戦ってきたとしても、疲労が蓄積していることは間違いない。
チームがうまく回っているときには、疲労の影響は表面からは見えてこない。だが、苦しい展開になると、疲労の影響が顔を出す。
浦和戦が良い例だ。
前半は、高い位置からの強烈なプレッシングだったり、トランジションで完全に浦和を上回っており、疲労の影響など微塵も感じられなかった。
ところが、1点をリードされて、精神的に追い込まれ、さらに2点目を失うと、疲労の影響がモロに出てしまった。スキッベ監督自身は、疲労の影響については否定したが、やはり疲労の色は見えていた。