■「リスク管理はあまり考えていませんでした」
DFジェジエウが投入され、右サイドバックに回った81分以降の佐々木には、前へ、前へとアグレッシブに攻めあがっていく姿勢が加わった。
「リスク管理はあまり考えていませんでした。たとえ最終ラインが2枚になっても、オニさん(鬼木達監督)も『行けるときは行け』と言っていたし、センターバックもジェジ(ジェジエウ)と(車屋)紳太郎くんだったし、そう簡単にやられるような選手でもないので。(左サイドバックの三浦)颯太も本当に気持ちよさそうに、何度も何度も攻めあがっていたので、僕も負けないと思っていました」
鬼木達監督としては、45分間で浦和を逆転するためのシナリオを講じた。同点止まりとなったものの、試合への入り方を含めたアプローチは、今シーズンの川崎で欠けるケースが多かった戦いの原点を、すべての選手たちに思い出させた。
「残り試合は少なくなったし、今シーズンももう終わっちゃいますけど、それでもチーム全員で今日の45分間のような姿勢といったものを示していきたい」
佐々木の言葉がチーム全員の思いを代弁する。AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)を含めて、今シーズン限りで退任する鬼木監督のもとで戦える公式戦はあと4試合。今後にどのような体制が誕生しようとも、川崎が大切にしていくべき道標を、約3カ月のハーフタイムをへて行われた浦和との後半が教えてくれた。
(取材・文/藤江直人)