■瀬古歩夢が振り返った失点場面
先発抜擢5人衆の最後の1人である瀬古は、3バックの一角として守備重視の入りを見せ、前半31分には田中碧(リーズ)が中盤で失ってカウンターを繰り出された時に間一髪でビッグチャンスを阻止。本人も「前半はよかった」と手ごたえをつかんだという。
しかし、後半開始3分の失点シーンが悔やまれた。あの場面は田中碧が右タッチライン際で奪いきれず、遠藤航(リバプール)もかわされたのを発端にゴール前まで攻め込まれてしまう形だったが、瀬古も中央に走り込んできたシエ・ウェンノン(20番)に寄せに行き、リン・リャンミン(11番)をフリーにさせてしまった。これは右WBの伊東が戻って対応しなければならなかったのだろうが、そのあたりの意思疎通がうまくいかなかった。
「あれは自分が判断した部分ですけど、一歩引いて、相手がスルーしてきたボールを止めることができれば、もちろん局面は違ったと思います」と本人も改善の余地があったこと感じている。守備陣は組み合わせや立ち位置が変わるとスムーズに行かなくなる傾向が強いだけに、最終予選初出場の彼は難しさも多々あったと言える。
今後、冨安健洋(アーセナル)や伊藤洋輝(バイエルン)が戻ってくることを考えると、今回の仕事ぶりだけで定着を勝ち取ったとは言い切れない。所属クラブに帰って攻守両面の強度を引き上げ、プレーの幅を広げる努力を続けるしかない。
終盤に登場した古橋らを含め、森保一監督がここまで大胆に選手を入れ替えて試すのは珍しい。だからこそ、今回のトライを意味あるものにしなければならない。出番を与えられた5人はこれをきっかけに主力を脅かすような飛躍を遂げることが肝要だ。
(取材・文/元川悦子)