■鎌田大地の在・不在の大きさ
ピッチ上に目を向けると、アジアカップ不参加だった鎌田大地(クリスタルパレス)が戻ってきたことは絶大な効果があった。昨季ラツィオで不遇の時を過ごしたMFは今夏からフランクフルト時代の恩師、オリヴァー・グラスナー監督率いるチームに加入。プレミアリーグ初参戦を果たしたが、クラブがうまく行っていないこともあり、今はかなり厳しい立場にいる。それでも代表に来た時はその難しさを持ち込むことなく、シャドウの一角で異彩を放っているのだ。
アジアカップの時も「鎌田がいればもっとボールを落ち着かせられる」「タメを作れる」という声は少なくなかったが、最終予選ではまさにその能力が遺憾なく発揮されていると言っていい。
南野拓実(モナコ)や久保建英(レアル・ソシエダ)らシャドウ陣らの中で、鎌田と旗手怜央(セルティック)は数少ないボランチ併用型。特に鎌田は守田英正(スポルティング・リスボン)とポジションを入れ替えながらプレーできる優位性がある。
「特に相手がマンツーマンで来たりするようなチームには、選手の入れ替わりはすごく効果的。すごく引かれちゃったオーストラリア戦(10月=埼玉)みたいに外、外になっちゃうと、なかなかゴールシーンが生まれないんで、できるだけ中でワンタッチで崩したり、中で崩して外っていうのが一番理想的だと思う」と本人も前向きなイメージを口にしていたが、ここまでは狙い通りになっている。
11月の中国戦(厦門)でも彼が後半途中から出てきた途端、連動性が劇的に向上。田中碧(リーズ)のシュートにつながった後半36分の流れるような攻撃などは、鎌田がいてこそ成立する。この男には今後も軸を担ってもらう必要があるが、そのためにも所属先で出場機会を失わないでほしい。目の色を変えてここからギアを上げていくべきだ。