■日本サッカーが「激変する」可能性

 J1でも現在の平均的な経営規模が年間50億円のJリーグ。500億円から1000億円という欧州のトップクラブに比するべきもない。大宮が現在、使用しているスタジアムも収容約1万5000人という小さなものである。レッドブルの狙いが大宮アルディージャの経営によって利益を上げようというものでないのは間違いない。レッドブル側としては、エネジードリンクの「日本市場」の強化とともに、近年急速に力をつけ、欧州に数多くのタレントを送り出している日本での育成活動によるアドバンテージを狙っているのではないか。

 そのプランに乗って大宮アルディージャが躍進し、そこから選手が次々と欧州に出ていって日本代表でも活躍するようになれば、Jリーグの他のクラブも安閑としてはいられなくなるだろう。

 何らかの「マルチオーナーシップ」に身を寄せて閉塞感を打開しようというクラブが次々と出てくる可能性は少なくない。

 21世紀の世界のサッカーは、20世紀とはまったく違う世界になっている。レッドブルの参画によって、大宮アルディージャが、そしてJリーグがどう変わるか。注意深く見守っていかなければならない。

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