■今季2度目の3得点
今シーズンの公式戦で、川崎が前半だけで3ゴールをあげるのは2度目。5月11日の北海道コンサドーレ札幌戦は、元フランス代表FWバフェティンビ・ゴミスが突出した個の力を発揮してハットトリックを達成した。
対照的に今回は、ピッチ上の選手たちが次々と前へプレッシャーをかけ、怒涛の波状攻撃を生み出した。際は「この形で次も勝てば、さらにいい流れに乗れる」と、再び中3日で敵地に乗り込む9日の京都サンガF.C.戦を見すえる。
「出るメンバーは変わるかもしれないけど、チームとして認識や意識をしっかりと共有して、やるべきプレーをみんなで落とし込む。僕のなかでは誰が出てもやることは変わらないというか、誰が出てもお互いのよさを引き出しながら、フロンターレらしいサッカーをすれば(勝てる)という感覚があります」
37歳の大ベテラン、FW小林悠は鹿島戦後にこう語っている。
「気持ちの部分でまず負けていた。試合前のロッカールームでも声が少なかったし、戦うんだ、という雰囲気をもっと作らなきゃいけなかった」
戦う上での大前提となる心の準備が、上海海港戦を前にした川崎で完璧に整い、残された今シーズンの戦いで前へ進んでいくための合言葉と化していた。
(取材・文/藤江直人)
(後編へ続く)