「仕留めてこい」
ピッチ横で、2人の選手が鬼木達監督から言葉をかけられた。スコアでは1点を追いかけている立場である。それでも、上海申花には徐々に隙が見えていた。だんだんとボールも持てるようになってきている。開始5分で崩れたゲームプランを、選手も監督もなんとか勝利に結びつけようとしていた――。
川崎フロンターレが中国・上海に乗り込んで迎えたACLE第3戦は、開始直後から数的不利で戦った。開始5分でマルシーニョが退場したからで、鬼木達監督は「ギリギリまで我慢しながら」という表現を用いて、反撃に出た。
その狼煙の一つが、後半19分の河原創の投入だった。そしてこれを機に、川崎は“らしい”ボール回しで保持する時間を作り、相手守備を攻略する糸口を探す。そして、同24分に瀬川祐輔とエリソンを投入。さらに同34分に小林悠と遠野大弥をピッチに送り出す。
2回に分けた交代策についての意図を指揮官に聞けば、「一気に行く選択もありましたけれども、少しまだ時間的に、もう少ししっかりと自分たちの攻撃でも守備でもというところで、最初に河原を入れました。その後、最終的には(遠野)大弥と悠で仕留めに行きました」と説明する。