■「クラブとしてどういうサッカーを今後、展開していくか」
「このクラブは勝たなきゃいけない。ただ、勝つために目先のことだけやってればいいかと言われれば違う。そこを中長期的な視点でやらないといけないと思います。勝つための最善はもちろん尽くしますけど、多少の我慢も必要になる。我慢できるか、その先にね、何が見えるかっていうのを考えながら、まずは自分たちがどういうスタイルでやっていくのかをまず示さないといけないですね。
自分の中ではそのイメージは多少ありますけど。僕だけが決めるものでもない。クラブとしてどういうサッカーを今後、展開していくか。その先にタイトルがあると思う。そのために、いろんな人とコミュニケーションを取らないといけない。経営陣とも話さないといけないし、サポーターの意見も必要かもしれない。僕らがやってた時と現代のサッカーは違うわけだし、それも加味しないといけないと思っています」
中田FDは神妙な面持ちでこう語っていたが、目指すべきスタイルを明示するという作業はそう簡単なことではない。鹿島のように過去5年間で5人も監督が代わっているクラブはなおさらだ。
2022年夏~2023年にかけて指揮を執った岩政大樹元監督も「自分たちのスタイルの重要性」を強調していたが、無冠に終わったことを重く見られ、結果的に解任されている。そういうことを繰り返さないように、クラブの体質改善を含めて、さまざまな角度から再出発をしなければならないだろう。
中田FDは10月5日のアルビレックス新潟戦の後、小泉文明社長から直々にこの重責を託されたという。彼ほどのレジェンドであっても、仮に結果が出なければ凄まじい批判にさらされる。それが鹿島のFDという仕事だ。