不意に言葉が途切れた。ガンバ大阪と1-1で引き分けた、18日のJ1リーグ第34節を終えた直後。ホームのUvanceとどろきスタジアム内の取材エリアで、川崎フロンターレの橘田健人は目を潤ませ、脳裏を駆け巡る感情を整理した。
2日前の16日に、鬼木達監督の退任が発表された。川崎に関わる誰もがショックを受けてから、ガンバ戦は初めて迎える試合だったが――こう問われた橘田は「そうですね」と切り出してから、時間にして数秒、沈黙した。
「……本当に勝ちたかったですし、だからこそ残りの試合はすべて勝ちたい」
沈黙の間に涙をこらえているように見えた、という問いを橘田は否定しなかった。
「自分がプロに入ったときから、いろいろなことを常に指導していただきました。いまの自分がいるのも、オニさんのおかげだと思っているので」
桐蔭横浜大から川崎に加入した2021シーズン。前年にリーグ戦と天皇杯の二冠を獲得した最強の陣容から、オフに守田英正が、夏場には三笘薫と田中碧がヨーロッパへ旅立ったなかで、夏場以降の後半戦から主力としてフル稼働した。