■「彼の不在は少なからず影響があった」

 そんな試合でやはり気になったのが、遠藤航リバプール)の不在だ。体調不良で前日練習を欠席した時点で、代役に田中碧(リーズ)が抜擢されることが確実視されたが、田中碧は3バック移行後の2ボランチにはほとんど入っていない。本人も「様子を見ているところがあった」と悔しさをにじませたが、ボランチの手探り状態は中盤の球際や寄せの強度低下に直結しかねない。全体的にオーストラリア戦の日本はボール回収や失った後の即時奪回、そこからの素早い攻めが減った印象もある。そこはやはり遠藤不在の影響だと言うしかない。
「彼(遠藤)の不在は少なからず影響があったでしょうけど、代わりに出た碧だったり、他の選手が出場機会を得て、試合に絡んでいくんだろうし、それが日本代表としての強みになると思う」と守田が前向きにコメントしていたが、確かに田中碧や藤田譲瑠チマシントトロイデン)らが出ても普段通りの中盤のバランスを維持できるのが理想である。しかしながら、現実は必ずしもそうではない。ドイツ・ブンデスリーガ1部で何度もデュエル王に輝いた男の卓越したボール奪取力がないと、高い位置からのカウンターも繰り出せなくなる。厳しい現実を今一度、直視しなければならないだろう。
 森保一監督は「時間が少ない中、コンディション面で言えば、大幅にターンオーバーすることが、もしかしたら正解かもしれないが、0に戻して1から始めて原則的なところからやることが勝利の可能性、確率を上げられるかを考えた時、今回の最終予選に関しては選手を変えずに、前の試合で経験したことを積み上げて次の試合に生かしていけるようにということを考えています」と試合後の会見で発言。最終予選の大勢が判明するまでは、メンバー固定を継続する意向を示した。

  1. 1
  2. 2
  3. 3