■「ウノ・ゼロ」を目指す戦い方ではなくなった?

 昨シーズン、J2リーグを戦っているときから、今シーズンの前半までは町田は挑戦者として必死に戦っていた。最優先は守備の意識を高く持って失点をしないこと。そして、強力なFWを使ったカウンターで、あるいは、ロングスローを含むセットプレーを工夫して点を取って「ウノ・ゼロ」を狙った勝負をする。危険な状況になれば、割り切ってファウルでも止める……。

 その勝負にこだわった戦い方に対して批判の声もあったが、とにかく「勝利のために」という哲学の下で戦い続けた。それが、町田を首位に引き上げることになった。

 だが、最近の町田は、「ウノ・ゼロ」を目指す戦い方ではなくなっている。

 もちろん、守備意識は高いが、攻めるときにはしっかりボールを握ってビルドアップもする。

 町田が首位を維持できたのは、的確な補強によるものでもあった。

 10月のワールドカップ予選には負傷中の中山雄太は呼ばれていないが、それでも町田からはGKの谷とDFの望月ヘンリー海輝の2人が招集されている。複数人が呼ばれたのは、Jリーグでは町田だけだ。

 さらに、今回は招集外だったが相馬勇紀もいるし、呉世勲(オ・セフン)は韓国代表、ミッチェル・デュークはオーストラリア代表だ。

 つまり、今の町田は戦力的にもJリーグ最強と言ってもいい。

 しかし、戦力が充実すればするほど「守って勝つ」というチーム・コンセプトだけで戦うわけにはいかなくなる。より攻撃的にプレーすることが可能になってきたのだ。当然、選手たちの意識も変わってくるだろう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4