■ポゼッション型の川崎に対する敗戦の「意味」

 28分には左サイドでマルシーニョにボールが渡った瞬間にSBの三浦颯太がボックス内に走り込んで、マルシーニョからのボールをそのまま決めて同点とする。さらに、38分には町田のGK谷晃生のミスキックを脇坂泰斗がワンタッチで山田新にパス。受けた山田がボックス外からループシュートを決めて川崎がリードした。

 後半に入っても、48分に走り込んだエリソンがGKの谷に倒されて得たPKをエリソンが自分で決めて3対0とし、さらに71分にも三浦からの縦パスに合わせた山本悠樹のクロスにマルシーニョが合わせて4対1とした。

 相手のミス絡みの得点もあったが、これも川崎のハイプレスがもたらしたもの。

 町田としては、自分たちのストロングポイントであるハイプレスを、逆に川崎にやられてしまったもので、結果も内容も完敗というゲームだった。

 町田にとって、ポゼッション型の川崎に対する敗戦は、カウンタープレス型の広島に敗れた試合とは異なった意味を持つように感じた。

 こうして、黒田剛監督就任後、初めての連敗を喫した町田は、首位の広島との勝点差が6に開いてしまった。自慢の守備が攻略される試合も増えてきているのも心配だ。

 そんなチーム状況について、試合後の記者会見で黒田監督が質問に答えて語った。

「夏の移籍で選手が補強されたが、ケガ人も出てメンバーが変わってきたこともあって、チーム・コンセプトが徹底されていない」と言うのだ。

 黒田監督のコメントには計算づくでなされるものが多い。そんな中で、この発言は、もちろんぼやきのような物ではなかったが、かなり本音が出ているように感じた。

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