■納得できる「リーグ戦」と「カップ戦」

 今季のJ1リーグは20チーム。1チームは他の19チームと相互のホームで1試合ずつ戦う。1シーズン、計38試合。勝利に3、引き分けに1という勝点の総数で順位を決定する。日程の運不運はあるかもしれないが、非の打ちどころのないシンプルな形式で、全38戦の結果得られる順位はまったく「フェア」だ。

 サッカーは力の差がそのまま試合結果に表れるとは限らない競技で、思いがけない結果や、1試合だけをとってみれば、プレー内容と逆の結果もよく生まれる。しかし、1シーズン、38試合を通算してみれば、はっきりと違いが生じる。そして、誰もがその結果を受け入れることができる。

 ノックアウト方式の「カップ戦」は、このリーグ戦とは対照的な方式ながら、これもまたシンプルで、誰もが結果を受け入れることができる大会である。すべてのラウンドを勝ち抜いたチームが優勝の栄誉を得る。その結果に、納得しない者はいない。

「最もシンプルな競技」サッカーは、この2種類のシンプルな構造の大会で、「シンプル」に王者が決められ、また、その経過を楽しむことができた。誰もが納得するリーグ戦とカップ戦は、サッカーがその161年の歴史のなかで形成してきた重要な「文化」だ。

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