■23年は「ここぞ」という試合で勝てなかった
ところが、エスパルスは下位に沈む水戸と引分けてしまうのである。勝点1差で磐田に2位を譲り、東京Vにも抜かれて4位に転落した。清水のJ1昇格は、プレーオフへ委ねられることとなった。
ホーム・アイスタでのプレーオフ準決勝は、5位のモンテディオ山形と0対0で引分けた。もうひとつのカードでは、東京Vが6位のジェフユナイテッド千葉を2対1で退けた。清水の最終決戦の相手は、東京Vとなった。
リーグ戦ではシーズンダブルを達成した相手である。63分、チアゴ・サンタナのPKで先制すると、終盤には4バックから5バックへ切り替えて逃げ切りをはかる。ところが、アディショナルタイムにPKを与えてしまうのである。
同点で終了すれば、年間順位上位のチームの勝利となる。1対1で試合は終わり、清水は1年でのJ1復帰を逃したのだった。
試合後の選手たちは、深い落胆と失望に包まれながらも、敗因をあげていった。乾はシーズンを通しての詰めの甘さを指摘した。
「ここで勝てばという試合が、シーズンを通して何回もあった。それを勝ち切れなかった。今日も1対0なら昇格できたけれど、ああいうところでミスをしてしまうというのは、自分たちがJ2のチームだということです」
ダブルボランチの一角を担った白崎凌兵も、シーズン中の課題が「最後の最後にまた出てしまった」と話した。
「良い時は勝手にうまくいく。上手くいかない時に本当の力が出る。そういう意味でまだまだ足りなかったのかな、と思います」
クラブ史上初めて2シーズン連続でJ2を戦うこととなり、大熊清GMが23年末で退任した。CBで主将の鈴木義宜、DF岸本武流、MF中山克広、FWチアゴ・サンタナが、J1のクラブへ移籍した。さらにMFホナウド、MF神谷優太らが退団した。
一方で、チームトップの15得点をあげたMFカルリーニョス・ジュニオ、権田、乾らを引き留め、移籍した選手のポジションも補強で埋めた。J2屈指の保有戦力を保ち、清水は24年シーズンへ突入していったのである。