【「J1復帰目前」老舗クラブの軌跡】首位・清水エスパルスは因縁の場所で昇格を決められるか 「最後の最後にまた…」脆さを露呈したJ2降格1年目【戸塚啓のJ2のミカタ】(1)の画像
攻撃の中心としてエスパルスを牽引するMF乾貴士  撮影/中地拓也

■2年越しのJ1復帰に清水が最接近

「超攻撃的」が、J1復帰に迫っている。

 J2リーグは残り5試合となり、清水エスパルスは勝点72で首位に立っている。3位のV・ファーレン長崎は勝点60で、その差は「12」だ。清水が6日に行なわれるアウェイ・水戸ホーリーホック戦(ケーズデンキスタジアム水戸)に勝利し、長崎が同日の大分トリニータ戦で引分け以下に終わると(2試合は同時刻のキックオフ予定)、両チームの勝点差は「14」以上となる。

 残り4試合での長崎の逆転は不可能となり、清水の2位以内=2シーズンぶりのJ1復帰が確定する。清水が引分け、長崎が敗戦のケースでも2位以内が決まるが、それは考えなくてもいいだろう(#1、2のうち1)。

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 2022年のJ1リーグで17位に終わった清水は、23年のJ2リーグにJ1昇格の本命として挑んだ。監督のゼ・リカルドは前年途中から指揮を執っており、GK権田修一、MF乾貴士、22年J1得点王のFWチアゴ・サンタナらの主力を引き留めることができたからだった。

 DF立田悠悟、DF片山瑛一柏レイソルへ移籍したが、そのレイソルからDF高橋祐治とDF北爪健吾を獲得した。ベテランSBの吉田豊も9年ぶりに復帰した。

 戦力に不足はなかったが、開幕から7戦未勝利(5分2敗)と低迷する。ルヴァンカップとの並行日程に苦しんだところはあったものの、6節、7節に連敗したことでクラブは監督解任と秋葉忠宏コーチの昇格を決断する。首位のFC町田ゼルビアとは勝点14もの差をつけられていたから、変化が必要なのは間違いなかった。

 新監督は「超攻撃」、「超アグレッシブ」を掲げ、それまでの4-4-2から4-2-3-1へシステムを変更する。トップ下には控えの扱いだった乾を配した。このシステム変更と乾のコンバートが、チームを劇的に変えていくのである。

 8節から8戦負けなしとアクセルを踏み込み、先行するFC町田ゼルビア、大分トリニータ、東京ヴェルディらを追いかけていく。

 前半戦を1試合未消化の7位で折り返すと、23節から36節まで14戦負けなし(9勝5分)を記録し、J1自動昇格圏の2位に浮上する。4-2-3-1を軸に3-4-2-1も併用して勝点を積み上げ、2位で最終節を迎えた。アウェイの水戸ホーリーホック戦に勝利すれば、1年でのJ1復帰を果たすことができた――。

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