■「チーム内の競争力みたいなものが、終盤戦にきてこんなにも」

 右肩鎖骨骨折を乗り越え、約4カ月ぶりにピッチに立ったMF西澤健太が52分に決めた同点ゴール。歓喜の瞬間をさかのぼっていくと、敵陣の中央から藤枝ゴール中央のMFルーカス・ブラガへ入った矢島の鋭い縦パスに行き着く。

 両サイドと中央を巧みに使い分けて清水の攻撃を活性化させ、3-2の逆転勝利に導くゲームチェンジャーとなった矢島へ、秋葉監督も賛辞を惜しまなかった。

「もっとテンポよく揺さぶりたいという狙いのなかで、正確な技術とインテリジェンスのある慎也(矢島)を入れた。途中出場という難しい役割であっても常に力を発揮してくれる慎也は、チームにとって非常に頼もしい存在だと思っている」

 台風10号の影響で延期された徳島ヴォルティス戦が18日に組み込まれた9月第3週は、9日間に3試合を戦った。先述した山口戦は矢島が、徳島戦はFWドウグラス・タンキと、ともに途中出場の選手がヒーローになった。

 今シーズンに山口から加わった30歳の矢島も、出場した26試合のうち先発は12度にとどまっている。それでも試合後には藤枝戦のヒーローになり、不断の努力を間近で見てきた秋葉監督を号泣させた西澤の存在をあげながらこう語っている。

「自分も近くで見ていて、年下ですけど、常日頃の立ち居振る舞いは本当に素晴らしいものがある。そういう選手が結果を出して、自分も前々節にゴールして、前節ではタンキも活躍した。レベルが高くなってきたからこそ、変なプレッシャーに負けているようではベンチにも入れなくなる。チーム内の競争力みたいなものが、終盤戦にきてこんなにも上がっているのはすごくいい状況だと思っています」

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