いよいよ秋の声が聞こえはじめると、Jリーグも終盤戦へ。頂点を目指す優勝争いや生き残りをかけた残留バトルは、さらに激しさを増していく。各チームのこれまでの戦いを振り返るとともに、2024シーズン終了までの見逃せないポイントを、ベテランのサッカージャーナリスト大住良之と後藤健生が語り尽くす!
■町田の予想を超える奮闘「背景には…」
――中断期間に入る前、J1では久々に首位交代がありました。とはいえ、FC町田ゼルビアのここまでの奮闘を予想されましたか。
後藤「もちろん、こんなことはありえないと思っていました」
大住「シーズンを折り返したら他チームが町田対策をして、町田はなかなか勝てなくなるんじゃないかとは予想していたので、本当に予想を超える奮闘です。その背景には、クラブの非常にプロフェッショナルな取り組みがあったと思う。後半に向けて補強したよね。開幕前に目標に掲げていた5位以内にとどまり続けるどころか、さらにギアアップして中山雄太、相馬勇紀、杉岡大暉、白崎凌兵を獲得するとは、本当にすごいなと思いました」
後藤「開幕前からこの陣容だったら、もっと上位を予想する声が増えただろうね。代表クラス、あるいはオリンピック年代の代表クラスがぞろぞろいるんだから。しかも新戦力が、どんどんハマっていった。お金持ちのクラブは他にもいくつかあるけど、町田は非常に効率的にお金を使ったよね。良い選手をきちんと取ってきたのは、大したものだよ」
大住「伸び盛りや中堅の選手だけじゃなくて、ベテランの域に入りつつある白崎を補強したのもすごく良かったよね。清水エスパルスでなかなか出にくくなったタイミングで獲得して、彼の技術と経験を活かしている。第29節の浦和レッズ戦を見たら、とても良かったよ。それにシーズンの残り試合数を考えて、若い選手をばんばんレンタルで出しているというのも、プロらしい態度だよね」
後藤「そうそう。お金を持っていると、ついつい無駄遣いしちゃうということが、個人でもクラブでも起こりがちなんだけどね。本当に非常に効率的にお金を使って、良い補強をしましたね」