■VARで取り消し後の「歓喜のゴール」

 国旗を模した白いシャツ、水色のパンツのサンマリノは、序盤から劣勢に立たされた。だが、全員守備で奮闘し、リヒテンシュタインのゴールがVARでオフサイドであるとして取り消される(観客914人の試合にVARがあることに驚く!)幸運もあって無失点でしのぎ、後半を迎える。

 その8分後、中盤右からDFジャコモ・ベンベヌティがゴール前に放り込む。リヒテンシュタインのDFがジャンプして頭に当てるがクリアしきれず、ボールは斜め後方、ペナルティーエリア内に流れる。GKが出てくる。DF足を止める。だが、GKがボールをキャッチしようとした寸前、そこに走り込んできたセンソリが2人の間に強引に体をねじこみ、右足を上げてボールに触れたのである。そしてボールは、GKの頭上を不思議な弧を描いて越え、ワンバウンドしてゴールに吸い込まれた。

 ボールを追ってゴールに入るのを確認すると、センソリは狂喜するメインスタンドに向かって走った。両手を広げ、次いで右手を挙げて歓呼に応えると、すぐにピッチ外から飛び込んできたサブ選手を含め、チームメートにもみくちゃにされた。

 この1点に力づけられたサンマリノは、その後も惜しいチャンスもつくり、実に20年ぶりの勝利をつかんだのである。

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