■遠藤航が解説するセットプレーのデザイン

 実際にどのようにデザインされていたのか。遠藤が説明してくれた。

「僕に対するマークをみんなでブロックして、自分をフリーにしていくような形ですね。あれだと相手はかなりマークにつきづらかったと思います」

 久保が蹴る時点で、遠藤にはMFリー・ユェンイーがマークについていた。遠藤の近くにいたDF板倉滉、DF町田浩樹、FW上田綺世にもそれぞれマークがついていた状況で、直後にバスケットボールのスクリーンプレーのような状況を作り出した結果として、遠藤はリー・ユェンイーのマークから逃れてフリーになった。

 もっとも、それだけでゴールが生まれたわけではない。森保監督が続ける。
「セットプレーからゴールが決まるのは、キッカーの質が素晴らしいからでもある。実際には点差が開きましたが、拮抗した試合になると思っていたなかで、セットプレーによる先制点が日本を有利な試合展開に導いたのは間違いない。今後もオープンプレーとともに、セットプレーの準備も徹底していきたい」

 スペインへ新天地を求めて6シーズン目。レアル・ソシエダで主軸を担って3シーズン目の久保が、キックの精度も含めて、著しい成長の跡を見せていると指揮官は目を細めた。固定されなかったキッカーが、ようやく定まった効果でもある。

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