■光った藤井智也の突破

「欧州では1トップで出ることがほとんどで、ポストプレーを求められる中で、自分のストロングを出すのが難しかったところもありました。ただ、フィジカル的なところは多少、経験を積んできましたし、そこはどんどん出してゴールに絡んでいく回数を増やしたい」と本人も話していた通り、近年は大柄で屈強なDF陣と渡り当たってきたという。

 それだけに期待は大きかったが、この日は甲府が5バックでガッチリとゴール前を守ってきたため、ボールが来ない時間帯が長かった。「待つ時間が多かったんで、もうちょっとボールを触る時間を増やしていけたらよかった」と本人も反省を口にしたのだった。

 前半終了間際に藤井の左クロスに合わせたシーンもあったが、惜しくも枠の外。結局、45分で下がることになったが、田川は周囲との連携を高め、フィニッシュの精度を引き上げていくことが重要だ。

 光った存在と言うべきなのは藤井。左からのスピードあるドリブル突破は相手も嫌がっていたし、この打開力は特筆すべきものがあった。前半終了間際に彼がヘナト・アウグストをかわして決め切った同点弾がなかったら、鹿島は甲府に負けていた可能性もなかったとは言い切れないだろう。

「前半はメッチャきつかったんで、しんどいなと思ってたんですけど、まあ点を取れてよかったです」と本人も安堵感を吐露したが、もう少し守備面で強度を出せるようになれば、仲間隼斗の左MFのポジションを奪うことも可能ではないか。今回のように明確な結果を残し続けていくことが、その早道と言っていい。

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