■植田直通「昨年の悔しさを持っていた」
「1失点してしまったのはすごく悔いが残るし、試合展開を難しくしてしまったところは反省点ですね。でもしっかり90分で勝ち切ったのは昨年の悔しさを持っていたから。そこがつながったのはよかったと思います。
試合の途中で岳君が入ってきて、岳君とセットプレーのタイミングや入る場所を確認しましたし、その通りに蹴ってくれた。お互いに信じあってやれたからこそのゴールだったし、すごくボールが良かったからこそ、決めれたと思います」
殊勲の植田はリベンジ意識の高さが勝因だったと明かす。確かにこの日の鹿島は「絶対に負けられない」という高いモチベーションが感じられた。後半はシュート2本で、鈴木優磨も決定機ゼロという苦境ではあったが、リスタートで1点取って勝つのはこのチームの伝統だ。柴崎という優れたキッカーと植田という競り合いに強い選手がいてこその白星だったのではないか。
リーグ戦の方は直近2戦未勝利で順位を落としている状況だが、「自分たちはアウェーでなかなか勝てない状況が増えている中、天皇杯で勝てたのは大きい」と植田も言う。25日の次戦・東京ヴェルディ戦、31日の京都サンガ戦とアウェーが続くだけに、苦手な敵地での白星を起爆剤にしたいところ。2冠の可能性を残す彼らにとって今はまさに正念場だ。
(取材・文/元川悦子)
(後編へつづく)