■J2リーグ最強の「攻撃力」を誇るも…
清水は、元日本代表の乾と北川を中心に強力なブラジル人が絡んで美しい攻撃の形を作る。攻撃のバリエーションが多く、ボールを持った選手は常に複数の選択肢を手にしている。清水の攻撃力はJ2リーグ最強と言って間違いないだろう。
だが、あの仙台の決勝ゴールの場面のような攻撃の分厚さ、しつこさ、粘りのようなものが感じられない。どこか、淡泊なのだ。
清水は、2023年シーズンにも何度もJ1昇格に王手をかけた。「ここで勝利すれば、2位以内(自動昇格)が確定」という試合もあったが、そこで勝ち切れないままリーグ戦は4位で終了して昇格プレーオフに回ってしまった。それでも、プレーオフを勝ち抜いて東京ヴェルディとの決勝戦に漕ぎつけ、63分にはチアゴ・サンタナがPKを決めて1点をリードしたまま終盤を迎え、またも昇格に王手をかけたのだ。
ところが、後半アディショナルタイムの94分にPKを取られて1点を失い、決勝戦は引き分けに終わり、リーグ戦の順位が上の東京Vの昇格を許してしまった。PKの判定は微妙なものではあったが、勝負を決められなかったのは、やはり清水側の問題だった。
圧倒的と言ってもいいようなチーム力を持ちながら、昨シーズンの清水はあまりにも勝負弱かった。
僕は、ユアスタでの仙台戦を見ていて、ついつい昨年の清水を思い出してしまった。チーム力の高さを見せつけてはいたのに、集中力の差で仙台に敗れた清水が、昨年の二の舞にならないといいのだが……。
選手たちに、あの秋葉忠宏監督の“熱さ”がうまく伝わらないものか……。