■ゴール前に人数をかける「分厚い攻め」
52分、右サイドから中島元彦が入れたボールを、清水のDFがかき出したところを、長澤和輝が遠目から決めて仙台に2点目が生まれた。
このように書くと、なんともあっさりした得点のように思えるが、実際にはこのときの仙台の攻めは非常に分厚いものだった。
攻撃は長澤のパスを受けた松井蓮之が右サイドを突破したところから始まった。クロスを受けた相良竜之介が粘り、相良からのボールを右サイドバックの真瀬拓海がクロス。いったんは清水がクリアに成功するが、そこに人数をかけて再びボールを奪った仙台が粘り強くつないで右サイドにいた中島が遠目からクロスを入れ、そのクリアボールを長澤が決めたのだ。
タッチラインを割りそうなボールも必死に走ってつなぎ、相手がクリアしたボールを囲い込んで再び奪い返し、ゴール前にもどんどん人数をかける分厚い攻めだった。
おそらく、攻撃の起点から数えれば7人ほどの仙台の選手がかかわっていたことだろう。
清水という厚い壁を、全員でこじ開けて叩き込んだ迫力のある攻撃であり、ピッチ上の選手全員が「ここがチャンス」という意識を共有して連動したからこそ生まれた得点だった。このエキサイティングなゴールにサポーターが熱く反応したのは言うまでもない。
結果的にこれが決勝点となったのだが、僕には「これこそが、清水に足りないものではないか」という気がしてきた。