【J2仙台・森山佳郎監督インタビュー(1)】育成のスペシャリストが杜の都で見せるもの。ビッグクラブに食らいつく”下剋上精神”を注入……分析から得た「振り切ったアプローチ」の画像
ベガルタ仙台の森山佳郎監督 撮影:中地拓也

 8月3日に3週間中断していたJ2が再開。その重要なゲームで首位・清水エスパルスを2-1で撃破したのが6位・ベガルタ仙台だ。

 本拠地・ユアテックスタジアム仙台に1万9000人を超える大観衆を集めて行われた大一番はまず開始早々の4分、仙台の点取り屋・中島元彦が強烈ミドルを沈めて先制。前半のうちに清水の新戦力・宇野禅斗に同点弾を浴びたが、後半7分に32歳のベテラン・長澤和輝浦和レッズに在籍していた2020年以来のゴールをゲット。これが決勝点となり、彼らは貴重な勝ち点3を手に入れた。

 タイムアップの笛が鳴った瞬間、今季から指揮を執る森山佳郎監督は歓喜を爆発させた。こうやって感情を表に出すところは、広島ユースで槙野智章柏木陽介らを指導していた頃から変わらない。「気持ちには引力がある」という明言を残した指導者のマインドは確実に仙台に浸透しつつあるようだ。

 ご存じの通り、森山監督は広島ユースの後、2015年から日本サッカー協会(JFA)へ赴き、U-17日本代表を4世代率いている。いわば”育成のスペシャリスト”と言える人材が56歳にして初めてJリーグのトップチームを率いるということで、大いに注目されていた。

 加えて言うと、森山監督は自ら2~3クラブに手紙を送り、仙台の契約をつかんだという異例の経緯がある。そんな指揮官に改めて就任の経緯からじっくりと伺った。

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