■ベガルタ仙台を選んだ理由

「自分はキャラクター的に関東や関西のビッグクラブではないなと。大きな力に食らいついていく立場のチームで仕事をする方が合っていると思いました。

 そこで頭に浮かんだのが仙台。昨季16位、後半戦に絞れば21位で、J3に降格してもおかしくない状況だったので、何としても立て直したかったし、食らいつくという意味でもすごくやりがいがあると感じました。

 僕は長年、広島で暮らしましたけど、生活環境も広島に近いのかなという感覚もあった。それも魅力だったですね」

 こう語る森山監督。だが、最初から全てが順風満々だったわけではない。特にプレシーズンの沖縄・宮崎キャンプ中に行った浦和、ジェフ千葉などとの4試合で1得点19失点という惨敗を喫した時には、「今年の森山・仙台は大丈夫か」といった疑問の声も上がったほどだ。

「昨季の戦いを村岡(誠)フィジカルコーチらと振り返った時、走力や強度が落ちていて、J2を戦い抜くうえで足りていないという分析があった。そこでキャンプはそちらに振り切ったアプローチを試みました。

 練習試合は結果が出ませんでしたね。浦和戦は2本目に立て続けに4失点して、最終的には0-6。別のJ1チームにも0-6で、正直、心は沈んでいました(苦笑)。でも、結果が出なくても気にせず、ひたすら強度を追求し続けた。スタッフみんなでやるべきことを共有し、貪欲に成長しようという意識は強かった。そうやって必死にベースを引き上げたつもりです」

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