■安心して「クラブに預けられる」理由
まず訪れたのがASサンテティエンヌ。1960年代、70年代にはフランス・サッカ-は低迷していましたが、サンテティエンヌは1975/76年シーズンにチャンピオンズカップで決勝進出に成功。決勝戦でバイエルン・ミュンヘン(西ドイツ)に敗れたものの、サンテティエンヌは全国区的な人気を集めるようになりました。
サンテティエンヌではユース年代の選手たちが研鑽に励むグラウンドを見学し、彼らが寝泊まりしている宿舎も案内してもらいました。
選手たちはクラブの宿舎に寝起きしています。今ではJリーグクラブでもトレーニング施設が整ってきていますが、2003年当時の日本のクラブとは比べ物にならないような設備でした。
そして、選手たちは地元で提携している高校に通ったり、クラブハウスの中でクラブが雇っている教師たちから授業を受けて大学受験資格を取るのです。
ヨーロッパでは、日本のように誰でもが大学に行くわけではありません。大学受験資格を得て大学に進学できれば、それはある一定の社会的地位を得ることを意味します。つまり、たとえプロ選手になれなくても、ハイレベルの教育を受けることができるのです。だからこそ、選手たちの両親は安心して息子をクラブに預けることができるというわけです。