■鈴木優磨「海舟の抜けた穴は正直、デカい」
ランコ・ポポヴィッチ監督も直後にチャヴリッチを投入し、流れを取り戻そうと試みたが、相手には西村や宮市亮といったタレントがいる。特に西村の守備力と運動量、献身性はマリノスの大きな活力となり、鹿島はズルズルと間延び。自陣に引かされ、さらに2つの失点を繰り返すことになったのである。
「札幌戦でも感じましたけど、やっぱり海舟の抜けた穴は正直、デカいなと。正直、嘘はつけないので、そう感じてます。彼がチームですごく多くのタスクを普通にこなしていたので、言い訳になっちゃいますけど、彼がいなくなった今は新しい形をチームとして探していかないといけない。このままだといけないと思うし、そこを早く見つけていかないといけないなっていうふうには感じました」
鈴木優磨が指摘した通り、この日の後半のように守勢に回った時こそ、佐野の不在が色濃く感じられたのは確かだ。彼と知念の守備強度があれば、間延びした状況下でもボール奪取回数を増やし、タテへの推進力を出せたはず。ここまで守りが崩れることもなかっただろう。
「優勝を掲げているチームが4失点してはいけない」と指揮官も苦言を呈したが、23節終了時点の総失点29というのは、町田とガンバ大阪の17、神戸の18よりはるかに多い。そこは明白な課題。4位に後退するのもやむを得ないというしかない。
柴崎には柴崎のよさがあるし、佐野と全く同じ仕事を課すことはできない。優磨が言うように「早く新たな形を見出す」ことが先決だ。一部報道によれば、三竿健斗を呼び戻す可能性が高まっていると伝えられていたが、15日夜に正式発表。少しは穴埋めの見通しが立ちつつある。とはいえ、やはりこれまでとは違った中盤の最適解を見つけ、失点を減らしていくことが、再浮上のカギと言えるだろう。
(取材・文:元川悦子)
(後編へ続く)