後藤健生の「蹴球放浪記」第2131回【日本と韓国を結ぶ漢字とサッカーと板橋と烏山】の巻(1)ローマ字で書かずに「李小龍」、ソウル近郊に「味の素フィールド西が丘」?の画像
Kリーグ、城南一和対浦項戦入場券。ハングルだけなので日本人には分からない。提供/後藤健生

 近年、アジアのサッカーは急速にレベルを上げている。そうした環境での切磋琢磨で、各国は成長していく。ライバル関係にある日本と韓国も、互いに高め合う仲間だ。蹴球放浪家・後藤健生が、両国をつなぐサッカーと文化についてつづる。

■「サッカリン」「マッカーサー」に思わず反応

 最近は韓国の地下鉄や高速道路で地名がハングル、ローマ字だけでなく、漢字でも書いてあることが増えました。

 漢字は、書き方を覚えるのは難しいのですが、覚えてしまえば読むときにはとても便利な文字です。ひと目見ただけで、すぐに何という文字か分かるのです。ローマ字やカナと違って、映像として脳に取り込まれるからでしょう。

 もっとも、カナでもしょっちゅう目にする単語は映像化されているので、膨大な文字の中に浮き上がって見えてきます。たとえば、僕にとっては「サッカー」という文字列はそうした特別な単語の一つ。「サッカリン」とか「マッカーサー」とか、「マカッサル(インドネシアの都市)」という単語を見ても、思わず心が反応してしまいます。

 ハングルは読み方を知らない人にとっては記号の羅列です。しかし、しょっちゅう目にしていると、次第にそれが文字に見えてきます。そして、「ソウル」とか「ハングク(韓国)」といった単語は、やはり映像化されて、一目で理解できるようになります。僕にとっては「チュック(蹴球)」という単語のハングル表記も、そうした映像化された文字列になっています。

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