■中国の「人名」や「地名」は漢字で表記すべし
でも、やっぱり漢字は便利。香港でバスに乗るときに、それを実感します。なにしろ、地名が漢字で書いてあって、読み方がローマ字で書いてあるのですから。
香港は中国人の社会。言語的には広東語の世界ですから、街中至る所に漢字が氾濫しています(今では、怪しげな「ひらがな」表記も出回っていますが……)。
韓国でも、香港でも(あるいは中国大陸でも)、ローマ字も広く使われています。外国人旅行客のためでもありますし、香港の場合、100年間も英国の直轄植民地だったので、英語教育が普及しているからです。だいいち、香港人は漢字2文字か3文字の中国式の名前のほかに、英語風のファーストネームを持っています。
たとえば、李小龍という香港人俳優は、世界的には「ブルース」という英語のファーストネームで知られています(「李小龍」というのは芸名で、本名は「李振藩」)。
ちなみに、「小龍」の発音は北京語か広東語かで違っていますし(もちろん、上海語でも、四川語でも、客家語でも全部発音は違います)、そのローマ字表記はいろいろあって複雑なことになります。
たとえば、香港のことを「Hong Kong」と書いてあればすぐに分かりますが、北京語で「Xianggang」と書いてあったら、それが香港のことだと分かる日本人はほとんどいないでしょう。
ですから、中国の人名や地名はカナ表記やローマ字表記にするよりも、漢字で書くべきなのです(漢字を見せれば、北京人でもすぐに理解できる)。