■平壌で「北朝鮮のミネラルウォーター」輸入業者と

 1985年のワールドカップ予選で北朝鮮の平壌(ピョンヤン)に行ったときに、何度も出会ったのは日本全国の朝鮮学校の生徒たちの修学旅行でした。北朝鮮の人たちはあまり感情を表に出しません(一般庶民の場合。エリートたちは別です)。しかし、日本育ちの朝鮮高校の学生たちは、ルーツは朝鮮であっても、文化的には日本文化の中で育っているので、日本人と同じように笑ったり、照れてみたりします。そうした表情を見ると、親近感というか仲間意識のようなものを感じます。

 彼らも同じような気持ちだったのでしょう。日本人記者団に対して親しみを込めた笑顔を送ってきました。

 日本選手団と記者団が泊まっていた大同江(テドンガン)のそばの平壌旅館(ピョンヤン・ホテル)にも、日本人が滞在していました。

 当時、北朝鮮を訪れる日本人は1年間で800人くらい(政府が把握している人数)と言われていましたから、かなりレアな存在です。話を聞いてみると、北朝鮮のミネラルウォーターを日本に輸入している会社の人だということでした。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4