■AFC主催の大会で恒例の「VAR過剰介入」
その後の、小久保によるPKストップの場面も、今大会を象徴したような出来事だった。
まず、VARの介入だ。
年齢制限のないアジアカップでも再三あったように、AFC主催の大会ではVARの過剰介入が恒例行事のようになっている。
VARというのは、本来は「明白な間違いがあったとき」にのみ介入すべきもののはずなのに、アジアのレフェリーたちは「与えられた権限はすべて行使しなければならない」という脅迫観念に取りつかれたかのように次々と介入しては、細かなファウルを炙り出す。
相手がヘディングで落としたボールが、ジャンプのときに広げた関根の手に当たったという事象は、はたしてPKに値するような反則だったのだろうか……。
もっとも、VARの介入がすべて日本にとって不利な方向に働いているわけではない。
初戦、中国戦での西尾隆矢の退場は、相手が大げさに倒れたとはいえ、挑発に乗って西尾が腕を振っていたのでやむをえない判定だった。VARの介入は、「西尾の退場」という正しい判断を導き出した。
また、「負ければ終わり」の準々決勝カタール戦で試合の流れを大きく変えることになったカタールのGKユセフ・アブドゥラの退場は、カタール側から見たら厳しすぎる判定と思えたかもしれない。
細谷真大の下腹部にユセフの足が当たったのは間違いないのだが、故意に細谷を狙ったようにも見えるし、ジャンプのときに伸ばした足がたまたま当たってしまったようにも思える(少なくとも、あそこでカードをもらうリスクを冒して細谷に蹴りを入れる必然性はまったくない場面だった)。
ただ、いずれにしてもこの大会全体を通じてVARが介入する回数は多すぎた。ゲームの流れが審判団の判断によって大きく変わってしまう場面も多かったのだ(オリンピック出場権獲得のために最も重要な準々決勝4試合では、すべての試合でレッドカードが提示された)。