■日本の攻撃を活性化させた「最年少19歳」
その17分間のドラマには、難しい試合が多くなった今大会を象徴するようなプレーが随所に見られた。
たとえば、91分の先制ゴールの場面。
攻撃の起点となった高井は、今大会に招集された23人の中で最年少の19歳。高さと強さ、技術、戦術眼を兼ね備えた才能あふれるDFだが、まだまだ経験不足で、代表でもクラブ(川崎フロンターレ)でも凡ミスからピンチを招くことがあった。
しかし、今大会ではCBの一角として起用され続け、フィジカル能力の高い相手に対しても互角以上のバトルを繰り広げ、試合を重ねるたびに自信をつけてきていた。そして、オリンピック出場権を獲得した準決勝のイラク戦でも、奪ったボールを自らドリブルで運んで日本の攻撃を活性化させていた。
まさに、高井が今大会で積み重ねてきたことが決勝戦のアディショナルタイムで花開いたのである。
そして、藤田から荒木への必殺のくさびのパス……。これも日本の必勝パターンだった。
準々決勝のカタール戦でも、延長に入って藤田が荒木に付け、荒木がワンタッチで細谷にパスを供給して決勝ゴールを生んだし(ちなみに、この得点場面でも藤田にボールを供給したのは高井だった)、さらにイラク戦の前半10分にも藤田から荒木、そして細谷とパスが渡って先制のチャンスが生まれた(細谷のシュートはGKにストップされた)。
その同じパターンからの得点が、決勝戦のアディショナルタイムという重要な場面でも再現されたのだ。
アシストをした荒木は79分にウズベキスタンのGKネマトフと接触。一度はプレー続行不可能かと思われたが、そのままプレーを続けている状態だった。それにも関わらず、この場面でアシストを決めたのだ(ただし、その後、倒れた荒木は担架で運ばれてしまう。脳震盪の疑いがあったのだから、あの場面ではプレーを続行させるべきではなかったのだろうか)。