■「ああいう時に迷いが生じると…」
得点に絡もうという意欲は序盤から色濃く出ていた。この日の伊藤はアンカーのサミュエル・グスタフソンの脇をしっかりとカバーしつつ、右SBの石原広教、右FWの大久保智明とのバランスを意識。時には大外に開いてスペースを埋めるような仕事も担った。
「相手のフォーメーションとの兼ね合いだったり、今回、トモ(大久保智明)が入って、(前田)直輝君は外に張ってるタイプですけど、トモは中に入ってもプレーできるので、柔軟にローテーションしながらやりました」と本人も狙いを口にする。
こうした中、背番号3にこれ以上ないビッグチャンスが訪れる。1点をリードされていた前半32分にグスタフソンから絶妙のスルーパスが通り、ペナルティエリア内でフリーになったシーンだ。GK上福元直人との距離もあり、そこまで重圧を感じる状況ではなかった。だが、伊藤は大事に行こうと考えすぎたのか、シュートが中途半端になり、守護神にアッサリキャッチされてしまったのだ。
「ああいう時に迷いが生じると、やっぱりいいシュートは行かないですし、思い切りよく打てばよかったかなと思います」
本人も反省しきりだったが、こういった決定機をモノにできないと勝利への機運は高まらない。幸いにも大久保の同点弾で1-1に追いついたものの、浦和は後半開始早々にまさかのカウンターから佐々木旭に2点目を奪われ、最終的には家長昭博にもダメ押し点を決められてしまう。終わってみれば1-3の敗戦。前半の内容がよかっただけに、この結果は大いに悔やまれた。