■終盤の連続弾で清水が5連勝を達成
1点差に迫られてからは、栃木にボールを握られる時間が増えた。栃木の左ウイングバック大森渚生のクロスに、何度か守備陣が慌てさせられる。好調のストライカー北川が、前半はシュートを1本も打てなかった。
後半に入っても、試合の流れは変わらない。栃木の攻撃をしのぎながら、清水は3点目を狙える瞬間を探っていく。栃木が59分にFW矢野貴章とFWイスマイラを投入してくると、清水陣内での攻防が増える。ギリギリで失点を防ぐシーンもあり、秋葉監督が動いた。70分、矢島と北川を下げ、MF松崎快、FWドウグラス・タンキを投入する。システムは4-4-2を維持する。
ファジアーノ岡山を1対0で退けた前節は、シーズン5度目のクリーンシートを記録した一方で、試合を決める2点目を取り切れないという課題が残った。2対1で推移する77分、秋葉監督は3枚目の交代カードとしてDF吉田豊を送り出す。ルーカス・ブラガとの交代で、システムは3-4-2-1に変更された。相手の2トップを3バックでしっかりと封じる狙いを持ちつつ、右の吉田、左の山原の両ウイングバックに高い位置を取らせ、攻撃に厚みを持たせることも意図していただろう。
果たして、選手交代が的中する。79分、ドウグラス・タンキがドリブルで突進すると、ペナルティエリア直前で倒される。しかし笛はならず、栃木が自陣からビルドアップを開始する。ここで山原が敵陣で横パスをカットし、一気にペナルティエリア左まで入り込む。そのまま左足を振り抜き、逆サイドネットへ突き刺した。サイドバックからウイングバックへポジションをあげた山原が、貴重な3点目をゲットしたのだった。
87分にはカルリーニョス・ジュニオのアシストから、松崎がペナルティエリア右からシュートする。利き足ではない右足の一撃が、至近距離からネットを揺らした。
終盤に攻撃力を爆発させた清水が、6試合勝利のない栃木を4対1で退けた。4得点は今シーズン最多だ。終わってみれば予想どおりの結果とも言えるが、栃木に押し込まれた時間帯に失点をしなかったことが、清水の勝利につながったと言える。このまま守備が安定していけば、チームの戦いぶりそのもの安定していくだろう。
就任後初の5連勝を達成した秋葉監督は、試合後のフラッシュインタビューで「大型連勝が続くためにも全員の力が必要。中2日しかありませんので、しっかり調整して(次節で対戦する)群馬を叩きたい」と話した。乾不在のなかで連勝を伸ばしている現在の戦いぶりは、まさに全員の力でつかみ取っているものであり、昨シーズンとは違う種類のたくましさを感じさせるものでもある。