■移籍後も選手の動向を追跡するために
日本人選手の海外移籍は、ローンと呼ばれる期限付き移籍からのスタートが少なくない。「最初から完全移籍というのは、なかなかないですね」と、眞壁会長も頷く。
「ローンで獲得してチームにフィットしたら買い取る、と言う。ベルギーのコルトレイクへ移籍した田中聡もそうで、当初は試合に出ていたけれど、監督が代わったらなかなか使われなくなった。それなら戻したほうがいい、という判断をしました。
若月大和もローン移籍でした。2年後には買い取る予定です、その後は上位のリーグのクラブへ移籍させます、という話もありました。そうはならずに戻ってきたのですが、我々が本当に知りたいのはローン先で日々どんな練習をしていて、どんなふうに成長しているのか、です。
ただ、情報のネットワークが少ない。ローンで移籍させた選手を追跡しきれない現状を改善するために、ヨーロッパにネットワークを持つウルブスの力を借りることにしました」
湘南U―18所属のDF小杉啓太が、3月にスウェーデン1部のユールゴーデンIFへ移籍した。攻守にハードワークできる左SBについて、ウルブスは「我々も継続して見ていく」とのスタンスを示した。
「我々のトップチームでは、プロ1年目の石井久継が試合に絡んでいる。小杉と同じく去年のU―17W杯に出場した本多康太郎も、来年は昇格してくる。そういう選手たちも控えているなかで、移籍させたあともしっかりフォローできる態勢を作りたかった。ウルブスと情報共有をするなかで、小杉のこれからも追いかけていけると思います」